淡水生物研究所は津田松苗先生の理念に基づいて創設されました。
津田松苗先生はドイツのデモル教授(1882~1960)のもとで汚水生物学を学び、リープマン教授(1910~1973)と共に、ダム湖の生態学に取り組まれました。
日本に帰国後は、京都大学臨湖実験所や奈良女子大学動物学教室で研究を続け、1941年には淀川水系の汚水生物学的研究をはじめ今日の応用生態学の基礎となる研究分野を先駆けられました。
理学的な生物学から一歩進んだ総合的な応用生態学へのさきがけを担い、全国の河川を調査し、湖沼やダム湖の富栄養化問題に取り組み、水質汚濁の問題を生態学の見地からとりくんできました。
1975年に亡くなられたあとを引き継いだわれわれは、生態学的な研究を中心に続けるとともに社会に寄与することを常に念願してきました。河川・湖沼・ダム湖や周辺の生物からみた健康状態がすなわち住民や社会にとっての健康につながることを調査研究結果や講演等を通して伝えて、ここに至っています。
日本の川はもとより世界の幾多の川を探査して河川の本来の姿と自然の有様を観察、見聞し、調査の結果を解析する。
日本と世界の各地のさまざまな人が歩んできた水と関わる文化の周辺を追い続けさまざまな事象を分析し、公表しながら社会に貢献したいと考えて今日も川へ出かけています。